捕獲圧で鹿が高標高へ――東京農工大、富士山で解明

東京農工大学の研究で、人間による捕獲圧の上昇がシカを高山等高い標高に追いやっていることが明らかとなった。捕獲圧の上昇が高山植物被害等の負の影響を与えている可能性が示されたのは今回が初。

6月28日付のスイスの動物学雑誌『Animals』に掲載され、7月18日付の同大のリリースで発表された。

本研究は髙田隼人特任准教授(農学部附属野生動物管理教育研究センター)、山梨県富士山科学研究所 中村圭太研究員らの共同研究によるもの。2018年から富士山麓の60地点を踏査し、シカの糞塊数を調査。そこから空間分布を導きだした。

それによると、シカが、捕獲が行われている地域や人間の居住地を避けていること、管理捕獲が行われる標高1000~1500メートル以上の亜高山帯、高山帯へ生息域を拡大させている可能性が示されたという。

報告では、現状の捕獲体制では高山植物の減少や、種間競争によってニホンカモシカの減少が進む危険性も指摘されている。また、近年顕著な街中への野生鳥獣の出現の原因もこうした中腹域での捕獲圧の上昇にあるのではないかとしている。

人間による捕獲がシカを高標高へ向かわせることを世界遺産・富士山で解明
https://www.tuat.ac.jp/outline/disclosure/pressrelease/2024/20240718_01.html