6月18日に大型獣による農業被害についての委員会が開かれ、2023年の被害状況が公表されたと、フランスの狩猟オンラインマガジン『CHASSE PASSION』が報じている。
TOUS LES CHIFFRES À SAVOIR SUR LES DÉGÂTS DE GRAND GIBIER (大型獣被害について知っておくべきすべての数字)
https://www.chassepassion.net/actualite-de-la-chasse/grand-gros-gibier/tous-les-chiffres-a-savoir-sur-les-degats-de-grand-gibier/
それによると、2022-2023シーズンの被害総額は6000万ユーロに上るという。前シーズンから1000万ユーロ以上の増加となる。その被害の85%がイノシシによるもので、もっとも被害を受けたのがトウモロコシとなっており被害総額全体の46%を占める。記者は「トウモロコシはイノシシの大好物」だからだと述べている。その後、小麦・大麦などの麦類の17%、牧草地が13%と続く。
フランスでは1970年代から、狩猟の対象となるイノシシや鹿などの獣による農業被害に対して、当該地域の狩猟連盟などが補償金を支払うことになった。日本とは狩猟と農業に対する考え方が違うところである。
1970年代から比較すると、イノシシの狩猟による捕獲頭数は20倍になっているそうで、イノシシによる農業被害も当然増加することになる。温暖化によって冬季の死亡率が減り、繁殖力が増していることが原因ともされている。狩猟者の数はこの30年で30%減少するなど、日本と共通している面もある。
フランスでは夜間狩猟に暗視ゴーグルやサーマルゴーグルの使用許可を求めるなど(一部地域では導入済み)、イノシシの捕獲圧を高めるための工夫も続けているが、その成果ははかばかしくはないようだ。