山梨県富士吉田市にジビエの食肉処理施設「DEAR DEER」が開設され、7月17日にオープニングセレモニーが開催される。
同施設は建設にあたりクラウドファンディングで4億円を集め話題となった。道の駅富士吉田、オートキャンプ場「FUJICHU」に隣接するという「山の中にある食肉処理施設」のイメージを覆す立地。捕獲された鹿、イノシシを解体処理し、ソーセージやハムなどの加工品を作る食肉加工もできる設備を備えるが、同時にジビエを使った料理が提供される集客施設でもある。道の駅に隣接する「長野市ジビエ加工センター」(長野県長野市)や、加工品を製造販売するクルックフィールド(千葉県木更津市)などの事例を踏まえて企画開発された、最新のジビエ処理施設と言って良い。地域、観光客に向けて開かれたオープンファクトリーであり、「生活と地続きにあるジビエ」が強く打ち出されている。
計画・設計に建築家やランドスケープの専門家を採用している点も非常に画期的。設計を担当したのは東京理科大教授で建築家の坂牛卓氏。坂牛氏はリサイクル工場でありながら年間300グループ以上が見学に訪れる「リーテム東京工場」の設計などで知られており、「開かれた」建築に定評がある。DEAR DEERも地域に溶け込んだ、柔らかい外観の施設になっている。
敷地面積は約2300平米、建屋面積は約410平米。公設民営で、運営は地域商社の株式会社ふじよしだまちづくり公社が受託している。隣接する忍野村、山中湖村とも提携し、3自治体・50名の登録ハンターが搬入。当面は年間200頭弱程度の処理を目標にしているという。搬入個体の9割はソーセージなどの加工品にし、同施設、隣接する道の駅販売する予定。すでに地域の観光事業者からの問い合わせもあるという。